企業は自然災害や感染症、サイバー攻撃といったさまざまな脅威から自社の事業を守る必要があり、そのためにはデータバックアップの重要性を改めて認識しなければならない。
例えばランサムウェアによってデータやアプリケーションが使用できない状態にされて“身代金”を請求されても、バックアップを取っていれば犯罪者に金銭を支払う必要性を低減できる。また、自然災害によって事業所が被害を受けても、バックアップがあれば迅速なビジネスの再開が可能となる。
複雑化する脅威に対し、データバックアップの重要性は高まっている。特にクラウドバックアップサービスは迅速かつ比較的安価にバックアップを取れるため、高い導入効果が期待できる。しかし、どのような企業でも気軽にクラウドバックアップサービスを利用できるわけではない。例えば地方の中小企業は一般的に、OA機器やシステムの導入を代理店に頼っている。こうした中小企業は、代理店で取り扱いがないとクラウドバックアップサービスにアクセスするのは難しい。代理店の取扱商品によって、顧客の事業継続が脅かされる可能性があるのだ。
中小企業にもバックアップのニーズが急増
データセンター事業を展開する使えるねっとは、自社のデータセンターを使ったSaaSを販売パートナーに提供している。今回同サービスの販売パートナーに加わったコニカミノルタジャパンが、クラウドバックアップサービスを自社の商材として取り扱うメリットや同社のITサービス強化について語った。
使えるねっと パートナー営業部 統括部長 篠田知範氏(以下、篠田氏): 当社はデータセンターを運営している企業ですが、同時に企業向けSaaSを販売パートナーさまに提供しています。SaaSは開発会社からホワイトラベルの形で仕入れてOEMで提供するため、販売パートナーさまが自社ブランドとして展開できます。
私は全国の販売パートナーの開拓と、その支援事業の統括をしています。現在すでに北海道から沖縄まで、国内100社を超える販売パートナーさまに当社のSaaSを販売いただいております。当社が提供するSaaSは自前でデータセンターを運営するメリットを生かし、低コストで安定した稼働を実現しているのが最大の特徴です。販売パートナーさまが売りやすい製品ラインアップや価格帯を意識しています。
―― 今回、コニカミノルタジャパンが使えるねっとと販売パートナー契約を結んだ理由は何でしょうか。
コニカミノルタジャパン デジタルワークプレイス事業統括部 ITサービス企画部 渡邊 豪氏(以下、渡邊氏): 当社は以前から複合機の販売や保守サービスを展開しています。2010年にそのネットワークを生かし、企業にITサービスを導入するビジネスを立ち上げました。その中で当社が同事業の中で新たに立ち上げた注力製品が、ITプラットフォーム「Workplace Hub」です。これはオンプレミスやクラウドのITサービスを、当社が導入から運用まで支援するサービスで、特に人手不足に苦しむ中小企業のサポートを重視しています。
当社は、このプラットフォームに載せるアプリケーションを検討していました。さまざまな分野のSaaSを用意していく中でセキュリティとバックアップをぜひ加えたいと考えて、その選考過程で使えるねっとさんのサービスを知りました。検討の結果非常に優れていると判断し、今回パートナー契約を結びました。
篠田氏: 当社はさまざまなSaaSをそろえていますが、このところ特に「使えるクラウドバックアップ」の引き合いが増えています。私はこれに、2つの理由があるとみています。一つは、5年ほど前から企業を脅かしているランサムウェアの被害拡大です。ランサムウェアに攻撃されると企業のデータやアプリケーションがロックされてしまい、解除には多額の“身代金”を要求されることがあります。そうなると金銭的な被害はもちろん、データがロックされている間にビジネスが止まり、機会損失が発生してしまいます。その際、データのバックアップがあれば犯罪者に金銭を支払う必要性を低減できますし、すぐにビジネスを再開できます。
もう一つは、甚大な被害をもたらす自然災害です。2019年の台風19号や2020年の九州豪雨では洪水によって事業所が水没し、データが消失する事態が発生しました。企業の大小を問わず、いつ起きるか分からない災害に備えたデータバックアップは不可欠です。
支払額は「使った分だけ」、従量課金のメリットとは
―― 販売パートナーとしての、「使えるクラウドバックアップ」の魅力は何でしょうか。
渡邊氏: われわれのコンセプトと合致している点です。中小企業をターゲットにしたWorkplace Hubは、一部のサービスに従量課金制を取り入れています。「使えるクラウドバックアップ」は、その料金体系に対応可能でした。
従来は企業がITサービスを利用する際、ライセンスの数やサービスの使用量は「事前の想定を少しだけ超えるくらい」を決め打ちで契約していました。これは企業が余裕を持つための判断ですが、言い換えれば無駄が生じている状態です。特に中小企業には、可能な限り無駄を減らしたいというニーズがあります。そのため当社は「使った分だけ払う」が実現できるよう、従量課金の仕組みを取り入れています。
具体的には、前の月にバックアップしたデータ量に応じて料金が変動します。料金は他のサービスと合算して一括で請求するため、支払いの手間も掛かりません。使えるねっとさんのご協力によって、当社の考え方に合わせて仕様と料金を柔軟に決められました。お客さまからは「驚くほど安い」という声を頂いています。
篠田氏: ユーザー企業からすれば、バックアップ製品はいざというときの安心を買う「掛け捨て保険」のような商品です。そのため導入の際は、セキュリティは当然ながらまず「コストの安さ」が重要になります。当社は自前のデータセンターを持つため、バックアップ用ストレージを格安で提供できます。価格が安いため当社の利益は上がりませんが、一度ご契約いただいたお客さまが解約されることもほとんどありません。われわれはバックアップを、お客さまと長くお付き合いするための基本的な製品と考えています。販売パートナーさまにとっても息の長い製品として、売り上げや顧客サービスの強化に寄与できると考えています。
―― 「使えるクラウドバックアップ」の機能面での特徴は何でしょうか。
篠田氏: 本製品は、Acronis International(以下、アクロニス)のイメージバックアップ製品をホワイトラベルとして当社が仕入れ、販売パートナーさまに提供しています。アクロニスは、イメージバックアップの技術に実績が豊富なベンダーの一社です。われわれがバックアップ製品の取り扱いを検討していた2010年ごろは、アプライアンス不要でクラウドにイメージバックアップを取れる製品は他に存在しませんでした。
当社の社長が顧客志向の考えに基づき「バックアップを取るためにお客さまにアプライアンスを買わせるようなサービスは売らない」とトップダウンで決定して、アクロニスの採用を決めました。その考えは正しく、現在はクラウドにバックアップを取ることが当たり前になっています。
当社がアクロニス製品の取り扱いを開始した後にさまざまな競合製品が登場しましたが、今でも同製品の優位は揺るがないと思っています。クラウドやPC、サーバ、モバイル、仮想などのさまざまな環境に対応し、企業ITを丸ごとバックアップできます。データのリカバリー(復旧)も高速で、ビジネスの停止時間を最小限に抑えられます。セキュリティ機能の追加も進んでいます。
2019年11月には、国が医療データのクラウドバックアップに際して準拠すべき内容をまとめた指針である「3省2ガイドライン」に準拠しました。アクロニスのイメージバックアップでこのガイドラインに準拠し、医療データのクラウドバックアップに対応するサービスパッケージは他にありません(2020年9月時点、使えるねっと調べ)。
例えば東日本大震災では歯科が被災し、身元特定に有効な歯型のデータが消失した例がありました。クラウドバックアップを取っていれば、災害からデータを守れたでしょう。こうした経緯から医療データのクラウドバックアップはニーズが高く、販売パートナーさまからの要望も受けていました。これから歯科医を中心に、全国の医療機関で導入が進むと考えています。
渡邊氏: 私たちにとっても「使えるクラウドバックアップ」が定評あるアクロニス製品を使ったサービスであることが、採用を決めた理由の一つでした。
販売を本格的に開始したのは2020年6月で、現在は社内の営業担当を対象に勉強会を実施している段階です。COVID-19の影響で訪問営業が難しい状況ですが、使えるねっとさんの支援も頂きながら、まずは私たちの営業知識を強化しているところです。
篠田氏: コロナ禍の前は、パートナー契約を結んだ企業さまに使えるねっとから講師を派遣して、拠点ごとに勉強会を実施していました。毎年9月に全国のパートナーさまを長野にお招きしたり、東日本と西日本それぞれで忘新年会を開催したりするなど、パートナーさま同士の情報交換の場を設けていました。2020年は現地開催が難しいため、オンライン勉強会を通して販売を支援しています。今後は販売パートナーさま向けのコンテンツを集めた特設Webサイトの開設や、ユーザー企業さまに登壇いただくオンラインサミットを予定しています。
―― 今回のパートナー契約によって、両社のビジネスにはどのような展開が期待できるのでしょうか。
渡邊氏: コニカミノルタジャパンの強みは、顧客とのタッチポイントの多さです。全国の保守拠点からサービスマンが日々顧客企業を訪問し、お客さまのビジネスを支援しながら企業の課題をヒアリングしてその情報を営業につなぎ、よりお客さまの要望に寄り添った解決策を提示できます。そうしたアプローチに、小さく始められるSaaSは最適だと思っています。「使えるクラウドバックアップ」をはじめとするWorkplace Hubのクラウドサービスは、保守サービスと同様のリカーリングビジネスにつながるでしょう。そして何より、お客さまである中小企業で深刻化するIT管理者不足問題の解決や、DXの推進を支援できると考えています。
篠田氏: 全国の中堅・中小企業と強い接点を持つコニカミノルタジャパンさんとのパートナー契約によって、自分たちだけの力では到底たどり着けないお客さまに対してわれわれの製品をご案内いただくことができます。そこが何よりありがたく、今後にも大いに期待しています。
―― どうもありがとうございました。
提供:アクロニス・ジャパン株式会社、使えるねっと株式会社
アイティメディア営業企画/制作:TechTargetジャパン編集部
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