クラウドストレージへの移行で、オンプレ脱却とBCP強化を同時に実現
株式会社エスオーエルは、自動車の補修・修理部品や雑貨などをインターネット経由で販売するEC企業です。国内外の工場や商社と連携し、コストを抑えた高品質な部品を提供。中古車市場や海外向け需要にも対応しながら、楽天・Amazon・Yahoo!ショッピングなど複数モールで事業を展開しています。近年では、化粧品販売やフィットネス・美容事業も展開し、事業範囲を拡大しています。
今回は、オンプレミスのファイルサーバからクラウドストレージ「使えるファイル箱」へ移行した背景や、導入・運用の実際の状況について、情報システム部の河出様と下嶋様にお話を伺いました。

オフィスエントランス
老朽化するオンプレサーバとBCP不安──クラウド移行を決断した理由
株式会社エスオーエルの情報システム部は2名体制。社内インフラの保守に加え、業務に合ったソフトウェアやプロダクトの選定・導入まで、一手に担っています。自動車部品の適合確認システムなど、業界特化型のシステムも多いため、市販パッケージでは対応しきれない部分はRFP作成やベンダーとの要件定義を通じて、フルスクラッチ開発を進めてきました。
従業員数の増加に伴い、ここ2〜3年で「情報システム部」として正式な部署体制が整えられたことも、クラウド移行検討の大きな契機になりました。
使えるファイル箱導入前、同社ではWindowsサーバを用いたオンプレミスのファイルサーバを運用。従業員が少ない頃はユーザー権限も明確に分けず、「みんなで共有フォルダを使う」スタイルでも成立していましたが、人数増加に伴うセキュリティリスク、サーバの老朽化やBCP上の不安など、課題が顕在化していきました。
さらに、同社のオフィスが入居するビルでは年に一度「計画停電」が実施されており、そのたびに情報システム部の担当者が早朝に出社してサーバをシャットダウンし、停電終了後にすぐ立ち上げる必要がありました。
「社内システムを止める時間は最小限にしなければならないので、計画停電があるたびにヒヤヒヤしていました。ハードウェアの老朽化やOS更新のたびに対応が必要という点も含めて、『次の更新ではクラウドも含めて考えよう』という話になりました」(河出様)
オンプレサーバを同等スペックで更新しようとすると、見積もりは100万円近くに達することも判明。BCPと運用負荷、そしてコストの3つの観点から、「クラウドへの移行」が現実的な選択肢として浮上していきました。
無理のない価格帯・ユーザー数無制限が条件、決め手は「フォルダ権限の柔軟さ」
クラウドストレージの選定にあたり、同社が最初に置いた条件は「月額3万円前後であること」でした。これは、オンプレサーバを5年ほど運用していく場合の総コスト感から逆算した数字です。
また、従業員ごとに利用頻度には差があるものの、将来的な増員や拠点追加も見据え、「ユーザー数課金」ではなく「容量課金型(ユーザー数無制限)」のサービスを希望していました。最終的に「使えるファイル箱」を選んだ大きな理由は、フォルダ階層ごとのきめ細かな権限設定ができることだったといいます。
「ユーザー数無制限で容量課金」「月額3万円程度」「フォルダ権限の設定が自由でセキュリティ面で安心」という3つの条件をバランスよく満たしていた点が、「使えるファイル箱」導入の決め手になったそうです。

株式会社エスオーエル 情報システム部 河出様(写真左) 下嶋様(写真右)
UFOキャッチャーがあるユニークなエントランスでお出迎えいただきました!
導入は200GBを1GBずつ、週末にコツコツ移行
導入に際して最も苦労したのが、既存ファイルサーバからクラウドへのデータ移行でした。同社では、長年の運用で蓄積された画像・CSV・各種ドキュメントが約200GB。そのすべてを「使えるファイル箱」に移行する必要がありました。
しかし実際に本番環境で試してみると、同社のネットワーク環境では「一度にファイルをアップロードすると途中で詰まってしまう」という制約があることが判明します。トライアル時には、もう少し大きなファイルでも問題なく転送できていたため、社員数増加やネットワーク負荷の変化も影響していたと考えられます。
結果として、約200GBのデータを1GB未満の単位に分割し、週末の土日に少しずつ移行するという方法を採用。
「人によっては1人で80GB以上使っているケースもあり、『これは消してよいデータかどうか』を一つひとつ確認しながら進めたので、正直かなり骨の折れる作業でした。ただ、その分、データの棚卸しや整理にもなったと思います」と河出様は振り返ります。

自動車部品の展示
導入後に感じたメリットと、サポートへの率直な要望
導入後のメリットは大きく3つです。
・フォルダ権限によるセキュリティの向上
・サーバ運用負荷からの解放
・BCPの観点からの安心感
一方で、導入初期にはクラウド特有の「同期待ち時間」に戸惑う場面もありました。
帰り際にファイルをアップロードしてすぐPCをシャットダウンしてしまい、翌日開こうとしたらファイルが壊れていた、といった事故も発生しましたが、「失敗を通じて社員もクラウドの扱い方に慣れてきた」と前向きに捉えられています。
また、サポートについては、次のような率直なご意見もいただきました。
・メールベースのやり取りが中心のため、複雑な内容は意思疎通に時間がかかる
・回答スピードは、簡単な問い合わせで半日〜1日程度
・時には質問の意図と少しズレた回答が返ってくることもあり、再質問が必要なケースも
「導入から3か月くらいの期間だけでも、管理者が優先的に電話で相談できる窓口があると、とても心強いと思います。とはいえ、こちらも色々と要望を投げている立場なので、フィードバックを通じてサービスが良くなっていけばいいなと感じています」(河出様)
最後に、「使えるファイル箱」の導入を検討している企業へのメッセージを伺いました。
「使えるファイル箱は、コストパフォーマンスの高いサービスだと思います。当社の要件である、ユーザー数無制限、フォルダ権限の柔軟さ、BCPの強化にぴったりでした。ただし、DropboxやOneDriveのような個人向けクラウドに慣れている方が、『同じ感覚で会社の大きなデータも扱える』と考えると、思った以上に時間がかかる場面もあるかもしれません」(下嶋様)
導入前の検証では、管理者だけでなく複数の社員で、大きめのファイルを同時に扱ってみるなど、実運用に近い形で負荷をかけてみることをおすすめします。それで自社のネットワーク環境と合うかどうかを確認しておけば、導入後のギャップも少なくなるはずです。導入時の管理者負担は正直それなりにありますが、それを乗り越えれば、セキュリティとBCPの両面で大きなメリットが得られるサービスだと感じています」(河出様)
頂いたご意見は使えるねっと社として真摯に受け止め、導入時の管理者の負担を少しでも軽減できるよう、サービス向上に取り組んで参ります。ご検討中の皆様も、ぜひ無料トライアルにて、「実運用に近い環境」での検証をお試しください。
■使えるファイル箱
使えるファイル箱は、ユーザー数無制限で1TBの大容量ストレージを抱えるクラウドストレージサービスです。
AndroidとiOS対応のモバイルアプリを使用すれば、モバイル端末から現場とオフィスのデータを同期できます。長野県にデータセンターを構え、AES256 ビット暗号化を採用したセキュアなサービスでありながら、低価格を実現。万が一の場合はメール、チャット、電話でのサポートもご利用いただけますので、高度な知識がなくても安心してご利用いただける商品です。他社製品とは一線を画す圧倒的な使いやすさをぜひご体験ください。