AIを搭載したデジタル学習教材「すらら」を全国の学校・学習塾・放課後等デイサービスに提供する株式会社すららネット。同社が課題としていたのが、多様なIT環境を持つクライアントへの安全なファイル共有でした。
相手ごとに異なるツールで対応するうちに、アクセス権の管理は複雑になる一方。担当者の異動時には引き継ぎでは、IT部門への個別対応依頼も絶えない状況でした。
「使えるファイル箱」の導入後は、メールアドレスだけで社外ゲストのアクセス権を一元管理できるようになり、リンクごとのアクセスログを営業フォローにも活用。約40名の営業チームは公式マニュアルをほぼ見ずに使い始め、複数ツールの分散運用から脱却しました。今回は使えるファイル箱の導入に携わったIT戦略推進グループの田口様・平澤様にお話を伺いました。

左から 田口様 平澤様
すららネットはGoogle Workspaceを社内で活用しており、取引先との共有にもGoogleドライブを使うのが自然な選択でした。しかし、公立学校や行政機関はポリシー上Googleアカウントの作成が難しいケースが多く、共有が思うようにできませんでした。
「Googleドライブはアカウントがないとそもそもアクセスできない。かといって『誰でも閲覧可能』設定にするとセキュリティが担保できません。生徒の学習進捗や成績データなど取り扱いに注意が必要なファイルを毎月やりとりしているので、安全な共有をするための試行錯誤が続いていました」(平澤様)
Googleドライブで対応できない相手にはHENNGE File Transferを使い、ファイルをクラウドにアップしてダウンロードURLを案内していました。一部からはzipファイルにパスワードをかけてメール添付する、いわゆる「PPAP」形式での送付を求められるケースも残っており、セキュリティ面での課題も抱えていました。
さらにHENNGEのリンクは有効期限が最長1ヶ月。期限を延長するとURLが変わってしまうため、クライアントが「以前送ってもらったリンクが開けない」と混乱するケースが度々ありました。
「有効期限の管理が煩雑で、URLが変わるたびにクライアントへ再案内が必要でした。また行政機関の中にはファイアウォールの制限で外部URL自体にアクセスできないところもあり、送っても開けないというやりとりが発生していました」(平澤氏)
クライアントによっては「Boxを使いたい」「Dropboxにしてほしい」と個別のツールを指定するケースもあり、社内で複数のサービスを並行運用せざるを得ない状況でした。また、GoogleドライブではURLベースの共有が中心になるため、担当者の異動時に「どのURLに何が入っているかわからない」「引き継いだはずのアクセス権が誰に残っているかわからない」といった引き継ぎ漏れが起きやすい構造でもありました。
「ファイル共有のツールを社内で統一し、きちんとアクセス権の管理ができる仕組みが必要でした」(平澤氏)
サービスの選定にあたってIT戦略推進グループが必須要件として定めたのは以下の3点でした。
アクセス権管理:メールアドレスだけでアクセス権を付与・管理できること
アクセスログ:誰がいつダウンロード・閲覧したか確認できること
リンク管理:共有済みリンクをいつでも無効化・更新できること
Box・Dropbox・セキュアSAMBA・SharePointなどを実際にトライアルして比較しました。
「BoxとDropboxは、セキュリティ面は十分でしたが、ユーザーごとの課金体系なので、営業メンバー・その他関係各所で使うとなるとコストが合いませんでした。また、取引先の学校や行政の担当者様が、ITツールに不慣れな方であっても『直感的に迷わず操作できること』を最優先要件としていました。検証したツールは機能的には十分でしたが、この操作性の面で、よりシンプルさを求めて検討を重ねました。」(田口氏)
「SharePointは既存のGoogle Workspace環境との相性が悪く、UIの直感性でも課題がありました。ユーザー体験の悪いサービスは使われなくなってしまうので、説明なしで使えることが導入の条件でした」(平澤氏)
比較サイト経由で使えるファイル箱を発見。低コストで探していた候補の中でも、UIのシンプルさとユーザー数無制限の料金体系が決め手になりました。
「説明しなくても使えるものじゃないと導入まで難しい、というのが実感です。ユーザー数課金ではなく容量課金なので、社員が増えてもコストが膨らまない。取引先のゲストユーザーも追加し放題という点も大きかったです」(田口氏)
2025年に行ったトライアルではIT部門の意思決定者と主要営業メンバーが参加。使えるねっとの担当が細かく要望をくみ取りながら設定をサポートし、「行政クライアントのセキュリティ要件を満たす特殊な使い方にも丁寧に対応してもらえた」と評価をいただきました。
2026年4月の本格展開では、公式マニュアルをベースに社内用のマニュアルを作成し、社内に展開しました。一部ではオンラインで画面を見ながらの説明を実施し、その後の問い合わせはほぼゼロでした。
「問い合わせが多く来たり、マニュアルを相当作り込まないと使ってもらえないツールもある中で、ユーザーは公式マニュアルを見なくても使えていました。質問がないということが、かなりいい意味で手離れがいいツールだということを示していると思います」(田口氏)
唯一あった戸惑いは「同じファイルなのにリンクが毎回違う」という問い合わせ。これは複数の公開リンクを発行してアクセスを追跡するという使い方を理解していなかったためで、使い方を説明したところすぐに解消しました。
HENNGEでの添付ファイル制限解除や、Googleドライブでの特殊なアクセス権設定の依頼など、月5件前後あったIT担当者へのファイル共有に関する個別対応依頼がほぼゼロになりました。
「当時は、Googleドライブの制限下で安全性を保ちながら情報を届けるために、非常に複雑で手間のかかる設定を個別に施して対応していました。そういった非効率な運用を一気に解消できたのは非常に大きいです。」(平澤氏)
使えるファイル箱では1つのファイルに対して複数の公開リンクを発行できます。すららネットでは顧客ごとに別リンクを発行することで、「誰がいつファイルを開いたか」をトラッキングできるようになりました。
「ファイル一つについて公開リンクが1つじゃないというのが使いやすいところです。リンクを分けることでアクセスログから誰が見たかが分かる。フォローアップのタイミングを判断するのに今まではできていなかったことが可能になりました。」(平澤氏)
学校単位・教科単位・教員単位で階層フォルダを構成し、ユーザーは自分がアクセス権を持つフォルダだけが見える状態を実現。担当者の異動時も引き継ぎ漏れが起きにくくなりました。

学習教材「すらら」でお馴染みのキャラクター
現在は営業チームから顧客へのファイル共有がメインですが、今後は開発パートナーとのやりとりにも展開する予定です。
「社外に出るファイルの情報資産管理を当社側で一元化したいというのが次の目標です。複数のサービスを使っていると定期的に棚卸しが必要になりますが、一元化できれば管理負荷が大幅に下がります」(平澤氏)
「MicrosoftでもGoogleでもない、環境に依存しないでメールアドレスだけでアクセス管理できるというのがやっぱり便利です。行政・学校・塾のような多様なクライアントがいる企業には特におすすめします」(平澤氏)
「安価で、UIが使いやすく、導入しやすい。外部とのファイル共有に悩みがある企業、特にコストや操作性を重視したい中小企業にはよく刺さると思います。まず検討の選択肢に入れてみてください」(田口氏)
取引先のIT環境がバラバラで悩んでいる・ファイル共有を安全に効率化したい企業にとって、今回の事例がファイル共有の見直しを考えるきっかけになれば幸いです。田口様、平澤様ありがとうございました!