電子契約サービスの料金表を並べると、月額の基本料金に目が行きがちです。しかし、年間の支払額は、送信する件数、使う人数、必要な機能がどのプランにあるかで大きく変わります。基本料金が安いサービスが、自社の使い方でも安いとは限りません。
この記事では、料金を構成する要素を分けて説明したうえで、4つのサービスの公式情報を使って、条件を置いた試算を行います。どの機能が必要かを先に整理したい方は、サービス選定の関連記事も参考にしてください。
この記事の要点
- 料金は、基本料金、送信料、利用人数、追加機能、保管と取り出しの条件に分けて比べます。
- 1件ごとの従量料金は年間の合計件数で、月ごとの件数枠は繁忙月の件数で費用が変わります。
- 社内承認が必要な場合は、承認の機能があるプランの料金で比べる必要があります。
- 署名の方式によって料金が変わるサービスもあるため、どの方式で送るかも前提として決めます。
- 月に数件なら無料プランで足りる場合もあります。利用者数と保管の上限も確認してください。
料金を構成する5つの要素
基本料金
毎月または毎年支払う固定の料金です。同じプランでも、年払いと月払いで金額が異なることがあります。たとえばfreeeサインのStarterプランは、年額一括払いなら月額換算5,980円、月額払いなら7,180円で、どちらも契約期間は1年の自動更新です(freeeサイン)。比較するときは、支払い方法と契約期間をそろえます。
送信料
送信料の仕組みは、大きく3つに分かれます。
年度末に契約更新が集中する会社では、年間の件数が同じでも、月ごとの枠があるサービスの方が超過料金が発生しやすくなります。反対に、毎月の件数が安定していれば、枠の中で収まる分だけ費用が読みやすくなります。
利用人数
利用者数が無制限のサービスと、人数に応じて料金が増えるサービスがあります。マネーフォワード クラウド契約は、ビジネスプランで3名まで基本料金に含まれ、4名目からは1名あたり月900円が加わります。スモールビジネスプランで使えるのは1名までです(マネーフォワード クラウドの料金)。契約書を送る人だけでなく、閲覧や承認だけをする人が利用者に数えられるかも、各社に確認してください。
承認などの追加機能
社内承認、IPアドレス制限、シングルサインオンなどは、上位プランにだけ含まれることがあります。承認が必要な会社は、入門プランではなく承認を使えるプランの料金で比べます。この点は後半の試算でも取り上げます。
保管と取り出し
保管できる件数に上限がある場合や、紙の契約書を取り込むと追加料金がかかる場合があります。クラウドサインでは、紙の書類のインポートは10,000書類まで無料で、それを超えると10,000書類ごとに月額の保管費用がかかります(クラウドサイン)。freeeサインの無料プランは、文書保管が月に3通までです。
解約した後に、契約書と署名の記録をどう取り出せるかも、料金に関わる条件です。取り出しに費用や期限があるかどうかは、各社の利用規約や問い合わせで確認してください。
4つのサービスの料金をそろえて比べる
各社の公式ページをもとに、小規模な企業が最初に検討しやすい有料プランを並べました。金額は年契約・税抜・月額換算です。2026年10月20日時点の情報で、期間限定のキャンペーンは含めていません。
表を読むときは、次の点に注意してください。
- マネーフォワード クラウド契約の金額は、会計や請求書などを含むマネーフォワード クラウドのビジネスプランの基本料金です。このプランで使えるのは契約書の送信と締結で、社内申請のワークフローなどは問い合わせが必要です(マネーフォワード クラウド契約)。また、2027年6月に料金体系の一部改定が予定されています。
- freeeサインの法人向けプランでは、電子サインは各プランの無料枠を超えた分から100円/通、電子署名は無料枠の対象外で1通目から200円/通です。同じ件数でも使う方式によって費用が変わります(方式別の従量料金)。
- 署名の方式はサービスごとに異なり、名称が似ていても同じ中身とは限りません。この表は各サービスの標準的な送信方法で料金を並べたもので、署名の方式をそろえた比較ではありません。
- 使えるサインの上限を超えたときの単価は公開されていません。月に20通を超える月がある場合は、見積もりで確認してください。月50件までのアドバンスプラン(月額22,000円)もあります。
利用条件別の試算
ここからは架空の利用条件による試算です。金額は年契約・税抜で、12か月同じ料金が続くと仮定します。freeeサインはすべて「電子サイン」で送る前提です。署名方式や機能をそろえた順位表ではありません。SMS送信、導入支援などの追加費用は含めず、使えるサインは基本料と別途確認する費用を分けて示します。
例1 毎月約20件を、担当者3名で送る
毎月20件、年間240件を送る会社です。社内承認は使わない前提です。
使えるサインの110,400円は基本料の年額で、年間総額の確定値ではありません。電子契約書と長期署名の枠の消費関係、長期署名の追加件数、必要な機能を確認するまでは、他社の送信料込みの小計と同じ条件の総額として比較しないでください。
社内承認が不要で利用者も少ない会社では、基本料金の低さが候補を絞る目安になります。そのうえで、必要な署名方式、本人確認、記録、保管・取り出しまで含む機能と費用をそろえて比べてください。
例2 毎月約60件を、担当者5名で送る
毎月60件、年間720件を送る会社です。社内承認は使わない前提です。
件数が増えると、1件ごとに料金がかかる仕組みの費用が大きく上がります。月に60件前後を送る会社は、件数枠の大きいプランや送信料のかからないプランを中心に、必要な機能と一緒に見積もりを取ると比べやすくなります。
例3 年間240件だが、年度末に集中する
年間の件数は例1と同じ240件ですが、3月に80件、4月に40件、そのほかの10か月は12件ずつ送る会社です。担当者は3名です。
年間の件数が同じでも、月ごとの枠があるプランでは繁忙月の超過分が加わります。一方、1件ごとの従量料金は例1と同じ金額になります。繁忙月がはっきりしている会社は、その月の件数を前提に試算してください。
freeeサインを「電子署名」で送る場合
上の例を電子サインから電子署名に変えると、1通目から200円が加わります。毎月20通なら71,760円+200円×240通=119,760円、毎月60通なら71,760円+200円×720通=215,760円です。電子サインの月50通無料枠を、この方式の計算から差し引くことはできません。いずれも基本料と署名の送信料の小計です(freeeサイン公式ヘルプ)。
社内承認が必要な場合は比べるプランが変わる
例1から例3は、社内承認を使わない前提でした。送信前に上長の承認を通したい会社では、比べるプランが次のように変わります。
承認が必要な会社は、その機能が含まれるプランで見積もりをそろえます。差し戻し、代理、複数段階など、必要な承認の流れも伝えてください。使えるサインはスタンダードから社内承認を案内していますが、年額を確定する際は、月別件数と長期署名の追加条件も合わせて確認します。
無料プランで足りる場合
月に1〜2件しか送らない会社は、無料プランで足りる場合があります。クラウドサインの無料プランは送信が月に2件まで、利用者は1名までです。freeeサインの無料プランは、利用者が3名まで、電子サインが月に1通、文書保管が月に3通までです。
無料プランは、件数だけでなく利用者数、保管、サポートにも制限があります。担当者が増えたときや、取引先が増えて件数が伸びたときに、有料プランへ移る前提で使い始めると、切り替えの判断がしやすくなります。
契約前に確認したい条件
試算に含めにくい条件も、年間費用に影響します。見積もりを取るときに、次の点を各社に確認してください。
- 件数の上限を超えたときの単価と、請求の時期
- 署名の方式ごとの料金(電子サイン、電子署名、長期署名など)と、件数の数え方
- 年契約の途中でプランを変えたり解約したりするときの扱い
- 解約後に契約書と署名の記録を取り出せる期間と方法
- 支払い方法(請求書払い、口座振替、クレジットカード)
支払い方法は、経理の運用に影響します。たとえばマネーフォワード クラウドはクレジットカード決済のみで、クラウドサインの有料プランは請求書払いや口座振替にも対応しています。
まとめ
電子契約の料金は、基本料金だけでなく、送信料の仕組み、利用人数、承認などの機能がどのプランにあるかで決まります。自社の月ごとの件数と担当者の人数を当てはめて年間費用を試算し、承認が必要なら承認を使えるプランどうしで比べてください。公開されていない超過料金や署名方式ごとの料金は、見積もりで確認してから判断すると安全です。
機能の選び方に戻って検討したい方は、サービス選定の関連記事をご覧ください。
資料・お見積もりのご案内
使えるサインのプランと機能は、資料にまとめています。
月ごとの送信件数(繁忙月を含む)、担当者の人数、承認の有無をお知らせいただければ、上限を超える月の費用も含めてお見積もりします。










