データ保護・BCP

中小企業向けクラウドバックアップ比較|イメージ・ファイル・ストレージ兼用型をカテゴリ別に解説

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May 09 2026

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「バックアップはしている。でもいざというとき本当に復旧できるか自信がない」——そんな中小企業の担当者は多いのではないでしょうか。

警察庁の調査では、ランサムウェア被害を受けた企業のうちバックアップを取得していても75%が復元できなかったという事実があります。バックアップさえしていれば安心、という時代は終わっています。本記事では中小企業向けのクラウドバックアップをカテゴリ別に整理し、各サービスの特徴と選び方を解説します。

この記事の要点

  • 中小企業のランサムウェア被害は前年比37%増。バックアップしていても75%が復元不可 ─ 保管場所と方式の設計が復旧の成否を分ける
  • 「専任IT担当者がいない」中小企業には、初期設定後に自動で動くクラウドバックアップが最適解
  • 選ぶポイントはイメージバックアップ対応・ランサムウェア対策機能・国内DC・日本語サポートの4点

クラウドバックアップとは

クラウドバックアップとは、インターネット上のサーバ(クラウドストレージ)に復元用のデータを保管することです。従来のローカルバックアップ(別のハードディスクやNASへの保存)と異なり、物理的な障害に強く、オフィスが被災しても遠隔地のサーバからデータを復旧できます。

オンプレミスでバックアップ環境を構築するには高額な初期投資と専門スタッフが必要ですが、クラウドバックアップは月額料金で利用でき、専任のIT担当者がいない中小企業でも導入しやすいのが最大の特徴です。クラウドバックアップの仕組みと基本知識を詳しく見る>>

クラウドバックアップが中小企業に必要な3つの理由

① 災害・障害対策

日本は災害大国です。気象庁の発表によると、今後30年以内に南海トラフ巨大地震の発生確率は70〜80%。首都直下地震も30年以内に70%(政府発表)とされています。地震・水害・火災が発生した場合、オフィスと同一拠点のバックアップデータは同時に失われます。

実際、2019年には日本電子計算が提供する自治体向けIaaSでシステム障害が発生し、53自治体のデータのうち15%のバックアップが見つからず復旧不能になりました。

クラウドバックアップによりデータをオフサイト(遠隔地)に保管しておけば、拠点が被災しても事業継続が可能です。BCPとクラウドバックアップの関係を詳しく見る>>

② ランサムウェア対策

📊 2024年 ランサムウェア被害の実態(警察庁「令和6年」調査)

▶ 年間被害件数:222件(高水準で推移)

▶ 中小企業の割合:全体の約63%・前年比37%増

▶ バックアップ取得済みでも復元不可:75%

▶ 復旧費用1,000万円以上:50%・復旧1ヶ月以上:49%

特に注目すべきは「バックアップを取得していても75%が復元できなかった」という数字です。主な原因は「バックアップデータも一緒に暗号化された」(67%)です。社内ネットワークにつながっているバックアップは、ランサムウェアに感染すると本番データと同時に暗号化されます。

クラウドバックアップで社内ネットワークから切り離された場所にデータを保管することが、真のランサムウェア対策になります。中小企業のランサムウェア対策ガイドはこちら>>

③ 人的ミスへの備え

サイバー攻撃や災害だけでなく、誤操作によるデータ削除・上書きも深刻なデータ消失原因です。人間が操作する以上、ヒューマンエラーはゼロにできません。クラウドバックアップの「バージョン管理」機能を使えば、過去の任意の時点に状態を戻すことができます。

中小企業にクラウドバックアップがおすすめの理由

総務省の通信利用動向調査(令和5年版)によると、クラウドサービスをデータバックアップに利用している企業は全体の42.0%にとどまります。まだ導入していない中小企業にこそ、クラウドバックアップをおすすめする4つの理由があります。

運用コストを抑えられる

社内サーバや専任スタッフが不要で、月額費用のみで堅牢なバックアップ環境を構築できます。事業拡大でデータが増えても、容量追加だけで対応できるため初期投資ゼロのスモールスタートが可能です。

自動バックアップで運用負担ゼロ

バックアップスケジュールを設定すれば、あとは自動で定期実行されます。専門知識がなくても、IT担当者が不在でも、確実にバックアップが取り続けられます。

高速復旧でBCP対策ができる

帝国データバンクの調査(2024年5月)によると、BCPを策定している中小企業はわずか16.5%。BCPの実施内容として「情報システムのバックアップ」を挙げた企業は57.9%で最多でした。

クラウドバックアップは最もコストパフォーマンスの高いBCP対策です。イメージバックアップ対応サービスであれば、OS・アプリも含めてシステム全体を高速復旧できます。バックアップテストの重要性とやり方>>

ランサムウェア対策を同時に実現できる

NIST「サイバーセキュリティフレームワーク2.0」では「復旧」がセキュリティ対策の重要機能の一つと定義されています。クラウドバックアップはランサムウェア感染時の「最後の砦」として機能します。AIによるランサムウェア検知機能を備えたサービスなら「バックアップごと暗号化される」リスクも大幅に低減できます。

中小企業向けクラウドバックアップ比較

クラウドバックアップサービスは大きく3つのカテゴリに分かれます。カテゴリが違えば役割も違うため、まず自社のニーズに合ったカテゴリを選ぶことが重要です。

カテゴリ特徴向いている企業
①イメージバックアップ型
(SaaS・ストレージ込み)
申し込めばすぐ使えるクラウド一体型。ストレージ別途不要IT担当者不在・迅速な導入・BCP重視
②イメージバックアップ型
(ソフトウェア・ストレージ別途)
バックアップ先(NAS・クラウド)を自社で用意する柔軟な構成既存IT環境に合わせた細かい設定が必要な企業
③ファイルバックアップ/
ストレージ兼用型
ファイル単位の保護・クラウドストレージを補助的に活用①②と組み合わせた3-2-1ルール実践・ファイル共有と兼用

① イメージバックアップ型(SaaS・クラウドストレージ込み)

使えるデータプロテクト(使えるねっと)★ 当サービス

使えるねっと株式会社が提供するクラウド型データ保護サービスです。1999年からレンタルサーバ事業を開始し、長野県に自社ISO27001認定データセンターを保有する国内事業者です。

バックアップ・EDR・ランサムウェア対策・デバイス管理を一つの管理画面に統合しており、専任IT担当者がいない中小企業でも運用できます。AIベースの「アクティブプロテクション」がランサムウェアによるファイル改変をリアルタイム検知・遮断します。

使えるデータプロテクト 主なプラン
プラン月額(税込)主な機能
データ復元・基本プラン2,400円〜バックアップ(PC・サーバ・Microsoft 365対応)
ランサムウェア対策プラン ★推奨3,320円〜バックアップ+EDR+RMM
業務停止ゼロ・丸ごと管理プラン10,700円〜バックアップ+EDR+RMM+ディザスタリカバリ

他社との主な違い

✅ ストレージ込みのSaaS型 ─ 申し込み後すぐ利用開始可能

✅ 国内ISO27001認定DC・24時間日本語サポート

✅ バックアップ+EDR+ランサムウェア対策を1画面で一元管理

SCS評価制度(2026年度〜)の星3取得に必要なバックアップ・ランサムウェア対策要件をカバー

使えるデータプロテクトの詳細・無料トライアルはこちら>>

② イメージバックアップ型(ソフトウェア・バックアップ先は別途)

このカテゴリのサービスはバックアップソフトウェアの提供が中心です。バックアップ先となるストレージ(NAS・ローカルサーバ・クラウドストレージ)は別途用意・契約が必要です。

Arcserve UDP

Arcserve Japan合同会社が提供するイメージバックアップソフトウェアです。富士通・NEC・大塚商会など日本の大手代理店が取り扱い、日本語GUIを標準搭載しているため国内での導入実績が豊富です。

物理サーバ・仮想マシン(VMware/Hyper-V)・クラウドワークロードを問わず、まるごとイメージバックアップできます。「Arcserve UDP Cloud Hybrid」オプションでクラウドへの2次保管によるBCP・ランサムウェア対策も実現できます。

このサービスの特徴

📋 価格:要見積もり(富士通・NEC・大塚商会等の代理店経由)

📋 バックアップ先:ローカルディスク・NAS・クラウド(別途)

📋 日本語GUI標準搭載・国内代理店サポート充実

📋 仮想環境(VMware/Hyper-V)のエージェントレスバックアップ対応

Veeam Backup Essentials

世界150か国以上で450,000社以上が導入するグローバルスタンダードのバックアップソフトウェアです。物理・仮想・クラウド・SaaS環境を一元管理できる機能の豊富さが特徴で、エンタープライズ向けから中規模企業向けまで幅広く対応します。

中小企業向けには「Veeam Data Platform Essentials」(旧Veeam Backup Essentials)が主な選択肢です。

このサービスの特徴

📋 価格:94,300円/年〜(5インスタンスから)

📋 バックアップ先:ローカル・NAS・クラウド(AWS/Azure等、別途)

✅ イミュータブルバックアップ(Hardened Linux Repository・S3 Object Lock)対応

✅ AIインラインマルウェア検知・IOCスキャン・Secure Restore搭載

⚠️ 機能は非常に強力だが、イミュータブル設定等にIT知識が必要。専任担当者がいない中小企業には運用難易度が高い場合あり

③ ファイルバックアップ/ストレージ兼用型(補完的用途)

このカテゴリはバックアップ専用ではなく、主にファイル共有・ストレージとして使いながらバックアップ機能を補完的に活用するサービスです。イメージバックアップ型との3-2-1ルールの組み合わせで使うのが理想です。

AOSBOX Business Pro

法人向けクラウドバックアップサービスです。端末内・転送中・サーバ上の3箇所でAES-256暗号化を施します。ユーザー数無制限のため社員が増えてもコストが変わりません。「通常ストレージ」(復元速度重視)と「コールドストレージ」(長期保存向け)を選択できます。なお、ファイルバックアップが主体であり、OS・アプリを含むシステム全体のイメージバックアップには対応していません。

📋 価格:40,000円/年〜(税別、100GB、ユーザー数無制限)

📋 容量:100GB〜10TB / 重複排除・増分バックアップ対応

⚠️ サポート:メール問い合わせが中心(回答まで2営業日以内)。緊急時の即応を求める場合は要確認

Box

法人向け全プランで容量無制限を提供するクラウドサービスです。ファイル共有・共同編集・バックアップを一体化でき、深層学習マルウェア検知「Box Shield」を搭載しています。バックアップ専用ではなくファイル共有ツールとしての側面が強く、イメージバックアップには非対応です。既存のイメージバックアップと組み合わせたオフサイト保管として有効です。

📋 価格:1,881円〜/月/ユーザー(税込、年払い)

📋 容量:全プラン無制限 / SLA 99.9% / AES-256暗号化

⚠️ サポート:公式直販は英語対応が基本・日本語テクニカルサポートは営業時間内のみ。日本語サポートを重視する場合は国内代理店経由での契約が必要

サービスイメージ
バックアップ
ストレージ
込み
ランサム
ウェア対策
国内
サポート
価格目安
使えるデータプロテクト✅ イミュータブル+AI検知✅ 電話・メール・チャット2,400円〜/月
Arcserve UDP別途✅ イミュータブル△ 代理店要見積もり
Veeam Backup Essentials別途✅ イミュータブル+AI検知△ 代理店94,300円〜/年
AOSBOX Business Pro△ 暗号化のみ△ メール中心40,000円〜/年
Box✅ 無制限△ Shield△ 代理店1,881円〜/月/ユーザー

※「ストレージ込み」=バックアップ先のクラウドストレージがサービスに含まれること。別途の場合はNAS・ローカルサーバ・クラウドストレージの契約が必要です。価格は変動する場合があります。最新情報は各公式サイトでご確認ください。

クラウドバックアップの種類

イメージバックアップ対応型

OS・アプリ・設定・データをシステム全体まるごとバックアップします。復旧時にアプリの再インストールや設定のやり直しが不要で、復旧時間が大幅に短縮されます。ランサムウェア感染やシステム障害時に業務を迅速に再開できるため、BCPを重視する中小企業に最適です。イメージバックアップの詳細はこちら>>

ファイルバックアップ対応型

必要なファイルやフォルダのみを対象にバックアップします。容量と時間を節約できる反面、システム障害時はOSやアプリを再インストールしてから復旧する必要があり、復旧完了まで時間がかかります。特定のファイル保護のみを目的とする場合や、NASと組み合わせて補完的に使う場合に有効です。

ファイルストレージ併用型

BoxやOneDriveなどのクラウドストレージサービスをバックアップとしても活用するパターンです。ストレージ内のファイルが変更されると自動的に同期・更新されます。ただし「同期」はバックアップとは異なり、誤削除すると全デバイスから消える点に注意が必要です。コストを抑えたい場合の補助的なバックアップとして位置づけましょう。3-2-1ルールでの最適な組み合わせ方はこちら>>

クラウドバックアップの選び方

① バックアップの種類(イメージ vs ファイル)

業務システムを高度にカスタマイズしている場合や「障害発生後に素早く業務を再開したい」場合はイメージバックアップ一択です。特定ファイルのみ保護したい、またはNASと組み合わせて補完的に使う場合はファイルバックアップが向いています。

② セキュリティ水準(暗号化・認証・DC所在地)

総務省が推奨するクラウドバックアップ選定チェックポイントは以下の通りです。

✅ AES-256暗号化(転送時・保存時の両方)

✅ ISO27001等のセキュリティ認証取得

✅ データセンターの所在地(国内か海外か)

✅ 不正アクセス防止・ログ管理の体制

✅ ランサムウェア検知・防御機能の有無

データを外部事業者に預けるため、特に国内DCかどうかとセキュリティ認証の取得状況は必ず確認しましょう。クラウドバックアップを導入することで、取引先に「セキュリティ対策を実施している信頼できる企業」として示すことも可能です。

③ 自社業務との相性(動作テスト必須)

導入前にバックアップをテスト実行し、PCやサーバ・他の通信機器への負荷と動作速度を確認しましょう。無料トライアルを活用し、実際の業務環境で相性を確かめてから本契約へ進むことをおすすめします。バックアップテストのやり方はこちら>>

クラウドバックアップを利用する上での注意点

クラウドバックアップのデメリットと対処法はこちら

ハードウェアに負荷がかかり過ぎないようにする

バックアップ実行中は端末のCPU・ネットワーク帯域に負荷がかかります。バックアップスケジュールを業務時間外(深夜・早朝)に設定し、帯域制限(スロットリング)機能のあるサービスを選ぶと業務への影響を最小化できます。バックアップが遅い・進まない場合の対処法はこちら>>

データ重複などによるコスト増に気をつける

クラウドバックアップの料金は利用容量に依存します。重複したデータが蓄積されるとコストがかさみます。重複排除機能のあるサービスを活用し、定期的にバックアップ範囲と保存データを見直しましょう。

帯域圧迫で業務効率が低下しないようにする

大量データの転送は社内ネットワークの帯域を圧迫します。不要データの削除でバックアップ量を削減するか、業務時間外に転送スケジュールを設定するなど対策してください。

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まとめ:中小企業のバックアップ選びで確認すべきこと

クラウドバックアップは「とにかく導入すれば安心」ではありません。警察庁の調査が示す通り、バックアップを取得していても75%が復元できなかった現実を踏まえると、何をどこに・どう保管するかの設計が復旧の成否を分けます。

比較したサービスのカテゴリと選定ポイントを以下に整理します。

こんな企業におすすめの選択
IT担当者不在・すぐ使いたい使えるデータプロテクト(SaaS型・設定後は自動運用)
既存IT環境に合わせて細かく設定したいArcserve UDP・Veeam(ソフトウェア型・要IT知識)
ファイル共有と組み合わせて3-2-1ルールを実践したいBox・AOSBOX(①②と組み合わせて補完的に活用)

「使えるデータプロテクト」が中小企業に選ばれる理由

各社のランサムウェア対策の機能水準は高くなっていますが、Veeam・Arcserveは機能が豊富な分、設定に相応のIT知識が必要です。専任担当者がいない中小企業では、導入後の運用がボトルネックになりがちです。

使えるデータプロテクトが中小企業に選ばれる差別化点はデータ保護に必要な複数の機能が、分かりやすいUIで一元管理できる設計にあります。さらに、クラウドセキュリティに習熟したサポートスタッフが、導入後の運用までサポートするため、万が一の時でも安心してご利用いただけます。

使えるデータプロテクトの4つの差別化ポイント

ストレージ込みのSaaS型:申し込み後すぐ使える。NASやサーバの別途調達が不要

AIランサムウェア対策が最初から動いている:標準でアクティブプロテクションが搭載

国内ISO27001認定DC・日本語サポート:電話・メール・チャットで日本語対応

SCS評価制度の要件をカバー:2026年度運用開始のSCS評価制度で求められるバックアップ・ランサムウェア対策要件に対応

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FAQ

クラウドバックアップのメリットは?

コスト抑制・自動運用・高速復旧・BCP対策の4点が主なメリットです。特にサーバ設置不要・専任スタッフ不要という点は、IT担当者のいない中小企業にとって最大の強みです。また、クラウドにデータを保管することで拠点が被災しても遠隔地から復旧できます。

クラウドバックアップのデメリットは?

①長期利用でのランニングコスト増②セキュリティ管理の一部が事業者依存③帯域圧迫による業務効率低下、の3点が主なデメリットです。いずれもサービス選定時の確認と運用設計で対処できます。詳しくはクラウドバックアップのデメリット6つと対処法をご覧ください。

バックアップしないと起こるリスクは?

データ消失が発生した場合、①法的責任(e-文書法・個人情報保護法等)②企業競争力の低下③社会的信頼の失墜④営業活動の停止、という4つのリスクにさらされます。中小企業はバックアップ不備によってそのまま廃業に追い込まれるケースもあります。

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