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データレジデンシーとは?意味・重要性と企業が知るべきデータ保管の基本

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Apr 20 2026

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クラウドサービスの普及により、企業のデータがどの国・地域のサーバに保管されているかが、経営上の重要課題になっています。コンプライアンスやセキュリティの観点から、海外のクラウドインフラにデータを預けるリスクが注目される中、「データレジデンシー」という概念の理解は不可欠です。

GDPR(EU一般データ保護規則)をはじめとするグローバルな規制強化を背景に、データの保管場所の管理は企業規模を問わず求められるようになりました。

本記事では、データレジデンシーの意味や関連概念との違い、企業が取るべき具体的な対策をわかりやすく解説します。

この記事の要点

・データレジデンシーとは、デジタルデータが物理的に保管される地理的な場所(国・地域)のこと

・GDPRや個人情報保護法など各国の規制強化により、データの保管場所の管理が企業のコンプライアンス上不可欠に

・国内データセンターを活用するクラウドサービスを選ぶことで、法的リスクの軽減とセキュリティの強化を両立できる

データレジデンシーとは?データ主権・データローカライゼーションとの違い

データレジデンシー(Data Residency)とは、企業や組織が保有するデジタルデータが「物理的にどの国・地域のサーバに保管されているか」を指す概念です。クラウド環境では、利用者が意識しないうちに海外のデータセンターに情報が保存されているケースも珍しくありません。データレジデンシーを管理するとは、このデータの保存先を把握し、意図した場所に保管されるよう統制することを意味します。

この概念と混同されやすいのが「データ主権(Data Sovereignty)」と「データローカライゼーション(Data Localization)」です。似ているようで、それぞれ異なる観点を持っています。

データ主権は、データが保管されている国の法律や規制がそのデータに適用されるという包括的な法的概念です。たとえば、日本企業のデータであっても米国のサーバに保管されていれば、米国の法律の適用を受ける可能性があります。データ主権は「誰の法律がデータを支配するか」という、より上位の概念といえるものです。

データ主権の概念や中小企業への影響については、以下の関連記事で詳しく解説しています。
>>データ主権とは?中小企業が知るべき重要性と対策をわかりやすく解説

データローカライゼーションは、特定の種類のデータを国外に移転することを法的に制限・禁止する規制要件を指します。ロシアやインド、中国など一部の国では、自国民の個人情報を国内サーバに保管することを法律で義務づけています。これは政策的・法的な「要件」であり、企業に対する強制力を伴います。

対してデータレジデンシーは、データの物理的な保管場所そのものに焦点を当てた概念です。法律の遵守(データローカライゼーション)を実現し、法的管轄権(データ主権)のリスクをコントロールするために、企業が主体的にデータの保存先を選定・管理する実務的なアプローチともいえるでしょう。

グローバルにビジネスを展開する企業はもちろん、クラウドサービスを利用するすべての企業にとって、この3つの概念を正しく理解することがデータ管理の第一歩です。

さらに、クラウド環境では複数の地域にまたがってサーバやデータセンターが分散していたり、トラフィックのルーティングが自動で最適化される仕組みになっていたりします。そのため、実際のデータの保存先や物理的な場所を正確に把握し、構成の変更や更新があった際にも一貫した管理体制のもとで一元化しておくことが重要なのです。

なぜデータレジデンシーが重要なの?企業が直面するリスクと法規制

データレジデンシーがコンプライアンス上の重要課題として注目される最大の理由は、世界各国でデータ保護に関する規制が急速に強化されていることにあります。

もっとも影響力の大きい規制が欧州(EU)のGDPR(一般データ保護規則)です。GDPRはEU域内の個人情報をEU域外に移転する際に厳格な条件を課しており、違反した場合は最大2,000万ユーロ(約30億円)または全世界年間売上高の4%のいずれか高い方の制裁金が科される可能性があります。EU市民のデータを扱う企業であれば、日本企業であっても対象となり得るため注意が必要です。

GDRPで実際に制裁金が課された事例

GDPRによる制裁金の実績は深刻です。2021年にはAmazonが広告データの取り扱いをめぐり約970億円(7億4,600万ユーロ)の制裁金を科された事例が記録されており、GDPR施行以来の累計制裁金総額は数千億円規模に達しています。また2022年には日本企業(NTTデータのスペイン子会社)が初めてGDPR違反で制裁金を科された事例も公表されており、日本企業にとっても対岸の火事ではありません。

スペインの監督機関であるAEPDは、データ侵害によって複数の保険会社の顧客データが流出した事案を受け、約6万4,000ユーロの罰金を決定しました。この問題は、同社が提供する技術インフラ上で発生したデータ漏洩が発端となり、2021年末から調査が進められたものです。

違反の主なポイントは、個人データの「完全性・機密性」を確保するための基本原則(GDPR第5条)と、適切な技術的・組織的対策(GDPR第32条)が不十分だった点にあります。当局は、必要なセキュリティ措置が講じられていた証拠がないことを問題視しました。なお、本来は合計8万ユーロの罰金でしたが、自主的な早期支払いにより減額され、最終的に6万4,000ユーロで確定した経緯があります。

日本でも改正個人情報保護法により、海外にある第三者への個人データ提供には、本人への情報提供義務や本人同意の取得が求められるようになりました。クラウドサービス経由で海外サーバにデータが保存されるケースでは、この規制への対応が必要になる場合があります。

さらに注目すべきは米国(USA)のCLOUD Act(クラウド法)です。この法律により、米国政府は米国企業が管理するデータに対し、そのデータが物理的にどの国に保管されていても、開示を要求できる権限を持ちます。つまり、米国系クラウドサービスを利用している場合、国内のサーバに保管されたデータであっても、米国政府からのアクセスリスクが存在するのです。

CLOUD Actの仕組みや日本企業への具体的な影響については、以下の関連記事をご参照ください。
>>米国クラウド法(Cloud Act)とは?日本の中小企業が知るべき影響と対策

こうした規制環境において、データの保管場所を意識せずに海外クラウドを利用することは、コンプライアンス違反による制裁金、政府機関によるデータへの強制アクセス、セキュリティ上の管理体制の不備といったリスクにつながります。業種や企業規模にかかわらず、データの保存先を把握し、適切に管理・保護する体制の構築が求められています。

なお、データの保管場所だけでなく、バックアップデータの保存先も見落とされがちなポイントです。本番環境は国内に置いていても、バックアップが海外サーバに分散されていれば、同様のリスクが発生します。データ保護の観点からは、バックアップの保管場所まで含めた一元化された管理が重要です。

とくにログやアクセス情報の分析・計測のためにクラウド上で構成された監視フローやデータパイプラインでは、複数のインフラや通信経路を経由してデータが送信・保存されるため、どの国・リージョンの環境を利用しているかを定期的に確認し、必要に応じて国内や特定地域別の拠点に集約・分離することで、プライバシー保護とセキュリティの品質を高めることができます。

データレジデンシー対策のポイントと国内クラウドサービスの活用方法

企業は具体的にどのようなアプローチでデータレジデンシーに対応すればよいのでしょうか。

1保管するデータの分類と管理方針の策定

第一に、保管するデータの分類と管理方針の策定です。すべてのデータを同じ基準で管理するのはコスト面でも効率面でも現実的ではありません。個人情報、機密性の高い業務データ、一般的な社内文書など、データの種類ごとにリスクレベルを分析し、保管場所に関するポリシーを設計することが出発点になります。特にGDPR対象となる欧州市民の個人情報や、改正個人情報保護法上の要配慮個人情報などは優先的に管理方針を明確化すべきです。

2クラウドサービス選定時のデータセンター所在地の確認

第二に、クラウドサービス選定時にデータセンターの所在地を必ず確認することです。クラウドサービスの導入前に「データはどの国のサーバに保管されるか」「バックアップデータの保存先はどこか」「将来的にデータセンターの場所が変更される可能性はないか」を確認しましょう。

グローバル展開するクラウドインフラでは、デフォルトで海外リージョンにデータが保管される設定になっていることも少なくありません。どのプロバイダーのどの環境・リージョンを利用するか、要件や設計方針を事前に整理し、システム構成図や運用フローに明記しておくことで、将来的な構成変更やデータの削除・移行時にも、データ管理や統制がとりやすくなります。

3国内データセンターを持つクラウドサービスの活用

第三に、国内データセンターを持つクラウドサービスの活用です。データを国内のサーバに保管するメリットは複数あります。日本の法律に基づいてデータを管理できるため法的リスクが軽減されること、国内サーバへのアクセスによりネットワーク遅延が最適化され業務効率が向上すること、そして災害やインシデント発生時に国内拠点から迅速に対応できる信頼性の高さが挙げられます。

さらに、国内に専用の物理サーバや独立したデータセンターを確保することで、システム全体の可用性や安定性、ネットワークパフォーマンスの最適化と、運用コストの削減や業務の効率化といったメリットも期待できるのです。

データ主権の観点から国産クラウドを選ぶべき理由については、以下の関連記事もあわせてご覧ください。
>>ソブリンクラウドとは?国産クラウドが注目される理由と企業のメリット

日常的に利用するファイル共有・保管サービスにおいて国内データセンターを選択することにより、海外サーバに起因する法的リスクを回避しつつ、安定した速度とセキュリティを確保できます。とりわけ個人情報や機密情報を日常的にやり取りする企業にとって、ファイルの保存先をローカル(国内)に限定できるクラウドストレージは、コンプライアンスと可用性を両立する有効なソリューションです。

使えるファイル箱は、長野県にある自社データセンターでデータを管理する、純国産のクラウドストレージサービスです。データが日本国外に出ることがないため、GDPRや改正個人情報保護法への対応もシンプルになります。高いセキュリティ基準と柔軟な容量プランで、中小企業から大企業まで幅広くご利用いただけます。ユーザー数無制限なので、コスト管理も容易です。

データの保存・保管先を長野県のローカルなデータセンターに限定しつつ、PCだけでなくモバイルからも安全にアクセスできるので、エンドユーザーの個人情報や業務データのプライバシー保護と、日々の業務の高速な処理・将来的な拡張性を両立できるクラウドソリューションといえるでしょう。

「うちのデータ、海外サーバに入っていないだろうか?」と少しでも気になった方は、国内データセンター完結型のクラウドストレージをご検討ください。

FAQ

データレジデンシーとデータ主権の違いは何ですか?

データレジデンシーはデータが物理的に保管される場所を指し、データ主権はそのデータに適用される法的管轄権を指します。データ主権はより広い概念で、データレジデンシーはその一部として位置づけられます。

データレジデンシーとデータローカライゼーションの違いは何ですか?

データレジデンシーは企業がデータの保管場所を主体的に選定・管理する実務的なアプローチです。一方、データローカライゼーションは国や地域がデータの国外移転を法律で制限・禁止する規制要件を指します。データローカライゼーションに対応するための手段の一つとして、データレジデンシーの管理があると理解するとわかりやすいでしょう。

海外のクラウドサービスを使っている場合、データレジデンシーのリスクはありますか?

はい、海外クラウドではデータが海外サーバに保管されるため、現地の法律が適用される可能性があります。GDPRや各国の規制に抵触するリスクがあるほか、政府によるデータへのアクセスリスクも考慮する必要があります。

とくに米国企業が提供するクラウドサービスでは、現地の法律や規制だけでなくCLOUD Actのような通信データ開示ルールの影響も受けるため、サービス提供条件やSLAの保証内容、自社システムがどの程度その基盤に依存しているかを事前に確認しておくことが重要です。

GDPRに違反するとどうなりますか?

GDPRに違反した場合、最大2,000万ユーロ(約30億円)または全世界年間売上高の4%のいずれか高い方の制裁金が科される可能性があります。実際に2021年にはAmazonが約970億円の制裁金を科された事例があり、日本企業もGDPR違反で制裁金を受けた事例が2022年に公表されています。

国内データセンターを使えばデータレジデンシーの問題は解決しますか?

国内データセンターの利用は、日本の法律に基づいたデータ管理を可能にし、法的リスクを大幅に軽減できます。ただし、利用するクラウドサービスの運営主体が海外企業の場合、データセンターが国内にあっても海外法の適用リスクが残る場合があります。運営主体・データセンターの所在地・適用される法律の3点をあわせて確認することが重要です。

バックアップデータにもデータレジデンシーは適用されますか?

はい、適用されます。本番データを国内に保管していても、バックアップデータが海外サーバに保存されていれば同様のリスクが発生します。GDPRをはじめとする各国の規制は保管場所を問わずデータ全体に適用されるため、バックアップの保管先まで含めた一元的な管理体制の構築が必要です。

中小企業でもデータレジデンシー対策は必要ですか?

はい、個人情報や機密情報を扱うすべての企業に関係します。特に海外企業との取引がある場合はGDPR等の規制対象になり得るため、データの保管場所を把握し、適切なクラウドサービスを選定することが重要です。

 

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